今日の迷言・余言・禁言

脳腫瘍「手術中」も交響曲を弾き続けた奏者

自分の仕事に対して「プライド」を持っている人は多い。この場合には、執刀医とそれを受ける患者とが、共に自分の仕事にプライドを持っていた。だから、執刀医が「左手の神経は絶対傷つけませんから安心してください」と言った時、患者のバイオリン奏者は「私も身動き一つせず演奏することを誓います」と応じたのだ。最初、執刀医には患者が何を言っているのかが分からなかった。「もちろん、先生の手術に失敗はあり得ません」患者はたたみかけるように言った。「私も演奏には自信を持っています。だからバイオリンを弾かせてほしいのです」「……まさか」「手術中に左手神経が傷ついていない証明として弾き続けていたいのです」「……」「腫瘍は左手神経のギリギリまで達している、と先生はおっしゃいました」「確かに」「でも、絶対に傷つけない」「そうです」「私もそう信じます。だから弾き続けたいんです」「頭部は固定しますが、それでも微かに動く可能性はある」「首から上はピタリとも動かさずに演奏します」執刀医はそれでも迷っていた。「手術中は麻酔を打つので手指の動きも制限されますし、寝たままの姿勢で演奏は…」「大丈夫です。演奏には自信があるのです。それとも先生、神経まで傷つけてしまう不安があるのですか」「絶対に傷つけないと言っています」「だったら演奏させてください。美しい音楽は手術の緊張を解きほぐします」患者の挑発に応じてしまう形で前代未聞の試みが行われることになった。脳腫瘍の切除手術中に患者がバイオリンを弾くという離れ業は今年の1月31日、英国で行われた。その手術には6時間を要した。元々彼女ダグマル・ターナー氏(53歳)は2013年のコンサート中に発作を起こして脳腫瘍を発症した。その後、放射線治療を受け続けていたのだが、2019年には腫瘍が大きくなって、どうしても除去しなければいけないところまで来てしまった。そこで右前頭葉からの摘出手術を受けることになったのだ。ただ左手神経をつかさどるギリギリまでメスが入るため、バイオリン奏者が不安に思ったとして無理はない。実際、彼女はマーラーの「交響曲第5番」など3時間にもわたって弾き続けたという。双方とも、プロの意地とプライドに掛けて、この手術は無事成功した。


最近の記事はこちら

世界に誇れる「ウイルス撃退」の発見⁉

奈良県立医科大学の矢野寿一教授を中心と研究チームが「新型コロナウイルス」に対して、そのウイルスの99%が1分間で無害化してしまう“魔法の飲み物”を発見した。まだ試験管による実験段階での研究成果で、人間…続きを読む

「セクシー」が、なぜいけないのか

人間の「平等」を主張しようとする場合、先天的な“違い”というものをどう捉えるかは重要な観点となる。産まれ持っての“違い”は、誰にもどうすることも出来ない。その違いを無視して、強引に「平等」を主張するの…続きを読む

「東京ドーム」を「三井不動産」が救済⁉

最近は大手企業と言えども「買収される」時代になった。昔は、買収と言えば、経営危機の状態となって初めて“出てくる話”だったのだが、最近はそうではない。例えば「東京ドーム」という一部上場の企業がある。この…続きを読む

「すべての人が主役…」って、何なんだよ⁉

私は極力“同業者の悪口”は言いたくないのだが、それでもたまにカチンとくる人物がいる。例えば、星ひとみ氏がそうだ。彼女は近年「カリスマ占い師」として脚光を浴びている。ただ、彼女が実際には何で占っているの…続きを読む

「NYダウ」「仮想通貨」「日経平均」史上最高値⁉

私が《「日本株」が暴騰し始める「初夢」⁉》として、これまで停滞気味だった日本株の動きが大きく変わり始めていることを指摘し、もしかしたら急騰し始めるかもしれないことを予告したのは11月10日のことだった…続きを読む

Copyright© 2015 NAMIKISEIRYU All Rights Reserved.