素顔のひとり言

「人生は回り舞台」という法則

このところ芸能関連のショッキングな話題が続いている。押尾学容疑者が使用していた部屋からの全裸死体・及び本人麻薬使用の逮捕、酒井法子の失踪・そして覚せい剤での逮捕状、女優・大原麗子の孤独死など、かつて日本中から憧れられた人たちの「もう一つの顔」と「墜ちた姿」だ。

人間には誰しも、幸運が本人の姿をより以上に輝かせてくれる時期と、不運が本人を表舞台から引きずりおろす時期とがある。これは一部の人だけにあるのではなく、長い人生を生きていれば必ず誰にでも訪れる法則なのだ。ただ運には強弱の違いがあって、それがことさら強く作用する人と、それほど強くは出て来ない人とがいる。日本中から熱狂的な支持・人気を得たり、棚ぼた式の莫大なお金が転がり込んだり、一気に名誉・名声を得たりする人は、どうしてもその反動から「暗黒の太陽」としての不運な一時期を体験しやすい。華やかだった表舞台から引きずりおろされて、不遇にむせび泣くような状況を出現しやすいものなのだ。

タロットカードには「運命の輪」と云う名称で知られているカードがある。回転する車輪を神々が回している図柄が描かれたカードだ。このカードを見るたび、私は「人生は回り舞台」だと改めて感じるし、占いの生徒さん達にもそれを教える。日本の歌舞伎で用いる「回り舞台」こそ、「回転する車輪」の図柄そのままなのだ。つまり観客から見える華やかな表舞台の裏では、その表舞台を支える裏方・黒子さんたちが必死に働いている。スポットライトを浴びることなく働いている。けれども歌舞伎には回り舞台があって、ドラマの途中でクルリと半回転する。そうすると、これまでスポットライトを浴びていた人達の照明は消え、代わりにそれまで「裏舞台に居た人達」が表舞台に出て来て華やかなスポットライトを浴びるよう変わってしまうのだ。人気稼業とか、芸能・芸術の分野、プロスポーツの世界、政治世界でも、実業の世界でも、あらゆる分野で運命の回り舞台は備えられている。表舞台に出てきた人達は急に輝き出し、能力を発揮し、美貌を与えられ、報酬が増え、素晴らしい人脈に恵まれる。その代りのように裏舞台へと消えた人達はかつての輝きを失っていく。もがけばもがくほど失っていく。努力とは無関係な「運」がそこにはある。厳然とある。ただそれが判りやすい人と判りにくい人とがいるだけなのだ。

私が、この法則を教わったのは、今は亡き中村文聡氏の著作からだった。彼は「太陽がいかに威力があったにしろ、夜間にその威力を発揚することは出来ない」と云う言葉で、それを表現した。太陽が我々の住む地球に昼と夜とをもたらしてくれているように、我々の人生にもまた「昼と夜」とがあり、それは「運勢」と呼ばれている太陽がもたらすものである以上、誰も避けて通ることは出来ないのだ…と悟った。但し、昼と夜とが繰り返すように、回り舞台としての人生も、裏舞台のまま終わるものでもなく、やがてまた表舞台へとチャンスが回って来る。人によって、表舞台・裏舞台の期間は異なるが、焦りさえしなければ、自ら墓穴を掘ってしまわなければ、一度失った輝きも、必ず取り戻すことは可能なものなのだ。ところが性急な人は裏舞台に回ると、途端にもがき始めるケースが多い。何とかスポットライトを取り戻そうと墓穴を掘っていくケースが多い。裏舞台の時には裏舞台としての役割があることに気付かなければならない。それを気付かせるため、神は裏舞台の時期を用意しているのだ。輝いているだけが人生ではない。人生の苦汁を舐めた人は人間として優しいし、謙虚だし、己と云うものを知っている。そして鈍く磨かれていく。再びスポットライトを浴びる時、必ずしも以前と同じような輝きとは限らない。けれども、その人にふさわしい輝きは必ず与えられるものなのだ。

薬物使用は芸能人であれ、一般人であれ、厳しい処罰が与えられることは誰でも知っている。人生を台無しにしていく危険物であることは誰でも知っている。それでいながら、手を出してしまうのは「妖しい魅力」があるからだ。現実から目を背けさせてくれるひと時があるからだ。誰でも夢を見ていたいときがある。目覚めたくないときがある。例えば酒井法子の場合、ホロスコープでは出生時点での太陽位置に今は移動中の海王星がぴったり重なっている。現実から目を背けて、眠りつづけていたい時期なのだ。人は誰でも孤独だし、誰でも口に出来ない悲しみを抱えている。だから人に優しくなれるし、他人でも心から抱きしめてあげられるのだ。神は人に暗闇を与えて、美しさや、気高さを引き出そうとしているのだ。


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