素顔のひとり言

薬物が人生・運命を変えていく

大相撲力士やゴールドメダリストの大麻事件がまた起こった。芸能界、スポーツ界、さらには大学生と、大麻とか覚せい剤とかが、再びじわじわと広がりを見せ始めている。自分とは無縁だと思う人が多いはずだが、案外身近なところにも薬物の魔の手は忍び寄っている。私のお客さんで仮にAと云う女性がいた。彼女は高校3年生の時から私の元へと鑑定に訪れるようになった。真面目な女性で、通常そのくらいの年齢だと恋愛のことを必ず訊いてくるものだが、彼女は違った。看護大学に入れるかどうか、医療系の道に進むことは適正かどうか、それだけを訊いて来た。私はそれらに関しては太鼓判を押し、ついでに学校に入ったら、好きな男性が出て来るだろう、と付け加えておいた。彼女は「そうかなあ…」と、興味がなさそうであった。

やがて無事大学に入学した彼女は明るくお礼に来た。そして、どの部活だったかサークルだったかの選択で、私に相談してきた。明るく聡明で真面目そうな印象も変わらなかった。ところが、夏休みに入ってアルバイトを始めたころから彼女に変化が出始めた。私の予言通りにアルバイト先の男性に恋してしまったのだ。それまで勉強一筋できた彼女は、男性に対しての免疫性がなかった。どうすれば付き合えるか…問われるまま私はいくつかのアドバイスを彼女に与えた。こうして彼女の恋愛遍歴が始まった。

それから何回か似たような恋愛相談で彼女は私のアドバイスを聴きに来た。徐々に彼女のファッションにも変化が出てきた。最初、聡明で真面目そうな印象が強かった彼女だが、大人っぽい雰囲気と云うか、女性的な華やかさが出て来ていた。ところが或る日、深刻そうな表情で彼女は現れた。そこで初めて彼女の父親が病院長であったことを知った。その父親が急死し、病院そのものも閉鎖が決まったという。卒業後は父親の病院で勤務するつもりだった彼女にはショックが大きかったようだ。しかも莫大な借金があり、送金も急きょストップしてしまうと云うのだ。学生として優秀である彼女が、あと1年を残して辞めるのはもったいない。ちゃんと卒業した方が良いと私は励ました。

私はその時、或ることを見逃していた。莫大な借金が彼女にも影を落とし、学生を続けるなら或る種の覚悟が必要だったと云うことを

…。それから三年ほどが経過した。突如、彼女が私の前に現れた時、私にはそれがAさんであるとは分からなかった。記された名前を見て初めて気付いたのだ。そのくらい彼女は変貌していた。まず髪が美しい金髪に変わっていた。金髪の前髪を目の手前までおかっぱにし、後ろをポニーテールにして、スパンコールのノースリーブとオレンジの極端なミニスカートで決めていた。元々、洋風の顔立ちをしていた彼女は金髪にすると外人風に見える。実際、ハーフの女性が訪ねてきたのかと思ったくらいだ。そして、その姿はどう見ても医療学生や看護師のそれではなかった。「先生、驚いたでしょう」それが、開口一番の言葉だった。化粧のせいだけではないかもしれない大き過ぎる眼は誇らしげに笑っていた。「風俗になったの?」彼女は大きく頷くと「今度、写真集とビデオも出る予定なの。今、東京に居るから…今度、来たとき持ってきてあげる」多分、彼女は懐かしさで立ち寄っただけなのに違いない。恵まれた現在の生活に後悔はないようだった。

ところが、話はこれで終わりではない。それから二年ほど経って、或る日、私の元に電話鑑定を依頼してきた女性は、どこかおかしかった。何がと云われると困るのだが、言葉のテンポ、会話のろれつ、話の筋道に、薬物特有の危うさが感じられるのだ。偽名を使ったが、声と云うのは記憶に残っている。最初、分からなかったが、話している内に彼女だと気付いたのだ。危険だと私は思った。彼女は元々が薬物の扱いに慣れている。そういう人が薬物に溺れると深みにはまり易いのだ。彼女の薬物とは、多分、私の勘では覚せい剤の方だ。私はそれとなく、今なら引き返せると忠告した。「私が誰だか分かってるの?」「もちろん」「…もう遅いわ…」「いや、遅くない」「…ダメなの」「なぜ?」「……」電話はそのまま切られた。

その後、彼女が顔を見せたこともなく、電話してきたこともない。今、どうしているか私は知らない。ただ、彼女が薬物から立ち直る日々が来ることだけを願っている。


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