今日の迷言・余言・禁言

「自営型」と「勤務型」の微妙な違い

人には元々「勤務する形での仕事形態」が合っている人と「独立自営する形での仕事形態」が合っている人とがいる。これは多分に“先天的なもの”で、もちろんどちらでも器用にこなせる人もいるが、大抵はどっちかの方がしっくりと行く。たまには、どちらも“不向き”というやっかいな人もいる。昨日、それまで15年間、奈良市内で洋菓子店「にこにこ庵」を営業してきた木村洋司氏が店を閉店した。自分が理想とするケーキ作りに体力がついていかず、また家族との時間も限られてきてしまったためだ。要するに、自営でやっていくのは限界が来た、ということらしい。今後は同じ市内の洋菓子店で「もう一度、職人として働く」ことが決まっている。彼が名を知られたのは「完売するまで店を閉めない」宣言をしてからである。自分が誠心誠意作った“食べられる洋菓子”を捨ててしまうのはもったいないということで、売り切るまで店を閉めない、と宣言して営業してきたのだ。当然、深夜や朝方まで店を開けていることもあった。体力が持たないのは、言ってみれば当然である。そこまでしなくても、と私などは思うが、こだわりの強い職人や技術者には、そういう人が時々いる。私などは、予約がない日など“悦んでしまう”のだが…。とにかく、こだわりの強すぎる職人や技術者が自分で経営すると、損得を度外視して頑張ることになりやすい。先天的に、自分が「自営型」か「勤務型」かを知る方法の一つは、周囲の眼を気にせず仕事が出来るかどうか、物事を決めるのが早いかどうか、一つの仕事が終わってから反省することが多いかどうかだ。基本的に、人の眼を必要以上に気にする人は自営には向いていない。また物事を決めるのに時間が掛り過ぎる人は自営には向いていない。一つの仕事が終わったのに、いつまでもそれを反芻し過ぎる人は自営には向いていない。要するに、人の眼を気にせず、即断即決が出来て、終わった仕事に拘泥しない人が自営に向いている。そういう人は、多少、まだ無理かな…というような状況からでも始めてしまえば何とかなっていく。自営に向いていない人は、もう大丈夫という段階になっても着手しないケースが多い。あまりに慎重すぎる人は、せっかくのチャンスを失うことが多い。人生に「完璧な計画書」とか「無敵の開業書」など存在しない。みんな手探りで開始するのだ。


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